アキレス腱炎・
アキレス腱周囲炎
アキレス腱炎とアキレス腱周囲炎は、アキレス腱に関する炎症を伴う疾患で、かかとの上部にあるアキレス腱やその周辺の組織に痛みや炎症が生じる状態です。アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉と足をつなぐ大きな腱で、歩行や走行、ジャンプなどの動作において重要な役割を果たしています。これらの疾患は、ランニングやジャンプなどの繰り返しの動作や負荷が原因となることが多く、スポーツを行う人々に多く見られます。
アキレス腱炎の症状
- アキレス腱の痛み
- 特に動き出しの時に痛みが強く、活動を続けると痛みが和らぐこともありますが、運動後や朝起きた時に再び痛みが強くなることがあります。
- 腫れやこわばり
- アキレス腱部分に腫れやこわばりが感じられ、動かしにくくなることがあります。
- 歩行時の痛み
- 歩いたり走ったりすると痛みが悪化することがあります。
- こぶの形成:
- 慢性的な炎症が続くと、アキレス腱部分に硬いしこり(腱の肥厚)ができることがあります。スパイクなど靴の矯正が必要な場合もあります。
アキレス腱周囲炎の症状
- アキレス腱周辺の痛み
- 腱自体だけでなく、その周りの組織(腱鞘や滑液包など)にも炎症が起こるため、広範囲に痛みが感じられます。
- 腫れと熱感
- アキレス腱の周辺が腫れ、触ると温かく感じることがあります。
- 動作時の違和感
- 腱を動かすたびにこすれる感じや、引っかかるような違和感が出ることがあります。
原因
- ❶ 過度の負荷(オーバーユース)
- ランニングやジャンプ、サッカーなどの繰り返し動作によってアキレス腱に過度の負荷がかかり、炎症が生じます。特にトレーニング量や強度を急激に増やした場合に発症しやすいです。
- ❷ 柔軟性や筋力の低下
- ふくらはぎの筋肉やアキレス腱の柔軟性が低いと、足首を動かすたびに過度なストレスがアキレス腱にかかり、炎症を引き起こします。
- ❸ 不適切な靴や走り方
- 靴のクッションが不足していたり、サポートが不十分だったりすると、アキレス腱に負担がかかりやすくなります。また、ランニングフォームが悪いと、腱に余分な負荷がかかることがあります。
- ❹ 加齢による変化
- 年齢とともに腱や周辺組織が弱くなり、炎症を起こしやすくなります。踵骨の変形をともない、疼痛が続くケースもあります(ハグルンド病)。
診断
- ❶ 問診と視診
- 症状の経過や痛みの部位、運動習慣について聞き取り、アキレス腱や周囲の腫れや圧痛があるか確認します。
- ❷ 触診
- 医師がアキレス腱を触って圧痛や腫れ、しこりがないかを確認します。
- ❸ 画像検査
- X線骨に異常がないかを確認します。
- 超音波検査やMRI腱やその周囲の組織に炎症や損傷がないかを確認するために用います。
治療
- ❶ 保存療法(非手術的治療)
- 安静痛みが治まるまで運動を控え、腱への負荷を減らすことが推奨されます。
- アイシング炎症を抑えるために、アキレス腱の部分を冷やします。特に運動後や痛みが強い時に行います。
- ストレッチと筋力トレーニングふくらはぎの筋肉やアキレス腱を柔軟に保つためのストレッチや、筋力を強化するトレーニングが効果的です。
- 物理療法超音波治療や電気療法などが痛みの軽減に使われることがあります。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)痛みや炎症を和らげるために使用されることがあります。
- ❷ 注射療法
- 痛みが強く保存療法で効果がない場合、ハイドロリリース注射が行われることがあります。ステロイド注射は腱の強度を低下させるため推奨されません。
- 再生医療ステロイドの副作用がないため、強力な抗炎症効果が望めます。
- 動注治療長く続く痛みには、異常血管(もやもや血管)が存在すると言われています。その痛みに血管からアプローチするのが動注治療です。この治療はオクノクリニックの奥野先生によって2014年に開発されたものです。当院はオクノクリニックとライセンス契約を結び動注治療を行なっております。
- ❸ 装具の使用
- アキレス腱にかかる負担を減らすために、ヒールリフトやインソール(足底板)を使用することがあります。
回復とリハビリテーション
- 軽度〜中等度の症状
- 保存療法により、数週間から数か月で痛みが軽減することが多いです。
- 重度の場合
- 長期的なリハビリテーションが必要となり、リハビリテーションでは筋力と柔軟性の向上を目指します。症状が改善しない場合、まれに手術が検討されることもあります。
予防
- ❶ 適切なウォームアップとクールダウン
- 運動前にしっかりウォームアップを行い、運動後はストレッチをすることで、アキレス腱にかかる負担を軽減します。
- ❷ 筋力と柔軟性の向上:
- ふくらはぎやアキレス腱を強化し、柔軟に保つことで、炎症の予防につながります。
- ❸ 適切なシューズの選択
- クッション性があり、足をしっかりサポートする靴を履くことで、アキレス腱への負担を減らします。
- ❹ 負荷の徐々な増加
- トレーニング量や強度を急激に増やさず、徐々に負荷を高めることが重要です。
まとめ
アキレス腱炎とアキレス腱周囲炎は、アキレス腱やその周辺の組織に炎症が生じ、歩行や運動時に痛みや不快感を引き起こします。適切な休養やリハビリテーション、筋力強化によって多くの場合、症状が改善します。予防としては、柔軟性を保つストレッチや、適切な靴選びが重要です。
外反母趾
外反母趾(がいはんぼし)は、足の親指(母趾)が外側に曲がり、足の親指の付け根(第一中足趾関節)が突出して痛みや変形を引き起こす疾患です。特に女性に多く見られ、長時間のハイヒールや先の細い靴を履くことが主な原因とされています。足のアーチの崩れによる扁平足や遺伝的要因も関係しており、進行すると歩行が困難になることがあります。
症状
- 親指の付け根の痛み
- 外反母趾が進行すると、親指の付け根の関節部分に痛みが生じます。靴を履いた時に圧迫されて痛みが増すことがあります。
- 関節の腫れと赤み
- 外反した部分が靴に当たり続けることで、腫れや炎症、赤みが生じることがあります。
- 突出した骨の変形
- 親指の付け根が外に飛び出し、関節が目立つように変形します。この突出した部分が靴に擦れて痛みが悪化することがあります。
- 親指の動きに制限
- 痛みや変形が進むと、親指を曲げたり伸ばしたりする動作が制限されることがあります。
- 足裏の痛み
- 足のバランスが崩れ、他の指や足裏にも痛みが生じることがあります。
原因
- ❶ 不適切な靴
- ハイヒールや先の細い靴、硬い靴を長時間履くと、足の指が圧迫され、親指が外側に曲がってしまいます。
- ❷ 遺伝的要因
- 家族に外反母趾の人がいる場合、遺伝的に同じような変形が起こるリスクが高くなります。
- ❸ 足のアーチの崩れ
- 扁平足や足のアーチの低下があると、足の骨格や筋肉のバランスが崩れ、親指に負担がかかりやすくなります。
- ❹ 筋力の低下
- 足の筋力が低下すると、足の骨格を支える力が弱まり、外反母趾の進行が早まることがあります。
- ❺ 加齢
- 加齢に伴い関節や靭帯が弱くなり、変形が進みやすくなります。
診断
- ❶ 問診と視診
- 痛みの部位や靴の履き方、普段の生活習慣を聞き取り、足の変形具合や親指の外反の程度を確認します。
- ❷ 画像検査(X線検査)
-
- X線検査足の骨の変形の状態や、外反母趾の角度(外反角:HV角)を正確に測定するためにX線を撮影します。
治療
- ❶ 保存療法(非手術的治療)
- 靴の見直し足に合った靴を選ぶことが第一歩です。先が広くて柔らかい素材の靴や、ヒールが低い靴を履くことで、足への負担を軽減します。
- 足底板(インソール)足のアーチをサポートするインソールを使用することで、足の負担を分散し、症状を和らげます。
- 指の装具やサポーター指をまっすぐに保つための装具や、関節部分をサポートするサポーターを使用することが推奨されます。
- 足のストレッチや筋力トレーニング足の筋力を強化し、足のアーチを保つためのエクササイズが効果的です。
- アイシング炎症がある場合は、患部を冷やして痛みを軽減します。
- ❷ 薬物療法
-
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)痛みや炎症を和らげるために、医師の指導のもと服用します。
- ❸ 手術療法
- 保存療法で効果が見られず、痛みが強い場合や歩行に支障が出る場合は、手術が検討されます。手術では、変形した骨を切除し、関節を整えることが行われます。
回復とリハビリテーション
- 軽度〜中等度の外反母趾
- 靴の改善やインソールの使用、足の筋力強化で症状が改善することがあります。痛みが軽減し、歩行がスムーズになります。
- 重度の外反母趾
- 手術が必要な場合も、手術後にリハビリテーションを行い、足の機能を回復させます。回復には数か月かかることがありますが、痛みがなくなり歩行が楽になることが多いです。
予防
- 適切な靴選び
- 足の幅に合った靴を選び、つま先が広く、足の動きを妨げない靴を履くことが大切です。
- 足のケアとエクササイズ
- 足のストレッチや筋力トレーニングを日常的に行い、足のアーチを保つことが予防につながります。
- 歩き方の改善:
- 正しい歩行フォームを意識し、足に無理な負担がかからないようにすることが重要です。
まとめ
外反母趾は、足の親指が外側に曲がり、関節部分が突出して痛みや変形を引き起こす疾患です。特に女性に多く、ハイヒールや先の細い靴が主な原因となります。適切な靴の選び方やインソールの使用、足のストレッチなどの保存療法が有効です。進行が進んだ場合は手術が必要となることもありますが、予防としては足のケアと靴選びが重要です。
扁平足
扁平足(へんぺいそく)は、足の土踏まず(足底アーチ)が低下し、足の裏全体が地面に接してしまう状態です。土踏まずは足にかかる衝撃を吸収し、バランスを保つ重要な役割を果たしていますが、扁平足ではその機能が低下するため、歩行や運動時に痛みや疲労が生じることがあります。子供の頃は扁平足であることが多いですが、大人になると土踏まずが形成されるのが一般的です。
症状
- 足の痛みや疲労
- 長時間歩いたり立っていたりすると、足の裏や足首、膝、さらには腰に痛みや疲労が感じられることがあります。これは足底アーチが衝撃を十分に吸収できないためです。
- 足のむくみ
- 足のアーチがないため、足首周辺や足全体がむくみやすくなることがあります。
- 足裏全体の接地
- 土踏まずがなく、足の裏全体が地面に接してしまうため、歩き方や立ち方が不自然になることがあります。
- 足や足首の変形
- 長期間にわたる扁平足が続くと、足や足首の骨や関節が変形することがあります。外反母趾も扁平足によりもたらされる変形の1つです。
- 膝や腰の痛み
- 足のアライメント(配列)が崩れることで、膝や腰にも負担がかかり、これらの部分にも痛みが現れることがあります。
原因
- ❶ 遺伝的要因
- 生まれつき足の骨や筋肉の発達が不十分である場合、扁平足になりやすいです。家族に扁平足の人がいる場合、遺伝的に同じ問題が生じることがあります。
- ❷ 靭帯の緩みや筋力不足
- 足の靭帯や筋肉が弱くなると、土踏まずを支える力が不足し、アーチが崩れて扁平足になります。特に、筋力低下や加齢、妊娠などが原因となることがあります。
- ❸ 過度の負荷
- 長時間の立ち仕事や激しい運動、体重の急激な増加などで足に過度の負荷がかかると、アーチが崩れ、扁平足を引き起こすことがあります。
- ❹ 靴の影響
- サポートが不十分な靴や、クッション性のない靴を履き続けることが扁平足を悪化させる原因になります。
- ❺ 外傷や疾患
- 足や足首の骨折や靭帯損傷などの怪我、または関節リウマチなどの疾患によって扁平足が二次的に発生することがあります。
まとめ
扁平足は、足の土踏まずが低下している状態で、足や膝、腰に痛みや疲労を引き起こすことがあります。適切な靴の選択やインソールの使用、筋力トレーニングによる治療が効果的です。進行が進んだ場合は、手術が検討されることもありますが、早期の予防と治療によって、症状の悪化を防ぐことが可能です。
足底腱膜炎
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)は、足の裏にある足底腱膜と呼ばれる強靭な組織が炎症を起こし、痛みを引き起こす疾患です。足底腱膜はかかとから足の指先にかけて広がり、足のアーチを支える役割を果たしています。特にかかと付近に痛みが生じることが多く、朝起きて最初に足をついた時や、長時間立っている時に痛みが強くなるのが特徴です。スポーツを行う人や、長時間立ち仕事をする人に多く見られます。
症状
- かかとの痛み
- 主にかかとに痛みを感じます。特に朝起きた直後に最初の一歩を踏み出す時や、長時間座っていた後に歩き始めた時に強く痛みます。
- 足裏の痛み
- 足の裏全体や土踏まずにかけて、痛みや張りを感じることがあります。歩いたり立ったりすると痛みが悪化します。
- 朝の痛みの強さ
- 朝の最初の歩行時に特に強い痛みを感じ、その後動かしているうちに痛みが和らぐのが特徴です。
- 痛みの悪化
- 長時間立っていたり、歩いたり、走ったりすると痛みが強くなることがあります。
原因
- ❶ 足底腱膜への過度な負担
- 長時間の立ち仕事や運動、歩行により、足底腱膜に過度な負担がかかり、炎症が起こることが主な原因です。足関節が硬かったり、ふくらはぎの筋肉がうまく使えなかったりすると、足底腱膜への負担が増えます。
- ❷ 足のアーチの異常
- 扁平足やハイアーチ(足のアーチが高い状態)など、足の形状が通常と異なる場合、足底腱膜に不均一な負荷がかかり、炎症が起こりやすくなります。
- ❸ 不適切な靴
- クッション性が低く、足底へのサポートが不足している靴を長時間履くと、足底腱膜に負担がかかり、炎症を引き起こすことがあります。
- ❹ 体重増加
- 体重の増加により、足底腱膜にかかる負担が増え、炎症が起こりやすくなります。特に肥満の人や急激に体重が増えた人はリスクが高まります。
- ❺ スポーツや運動
- ランニングやジャンプを繰り返すスポーツ(例:マラソン、バスケットボールなど)を行うと、足底腱膜に強い負担がかかり、炎症が生じることがあります。
診断
- ❶ 問診と視診
- 痛みの場所や症状の出方を確認し、足底の腫れや圧痛があるかを診察します。かかと周辺の押した時の痛みが確認されることが多いです。
- ❷ 画像検査
-
- X線検査足底腱膜の状態やかかとの骨棘(骨の突起)の有無を確認します。骨棘は足底腱膜炎の進行に伴い形成されることがありますが、全員に見られるわけではありません。
- 超音波検査足底腱膜の炎症や損傷の詳細を確認するために行うことがあります。
治療
- ❶ 保存療法(非手術的治療)
-
- 安静と休息足底腱膜への負担を軽減するため、無理な運動や長時間の立ち仕事を避け、休息を取ることが重要です。
- ストレッチとマッサージ足底腱膜やふくらはぎの筋肉を柔軟に保つためのストレッチを行うことで、腱膜への負担を軽減します。マッサージも効果的です。
- インソール(足底板)足底腱膜をサポートするために、アーチサポートのあるインソールやかかとにクッション性のある靴を使用することが推奨されます。
- アイシング痛みや炎症がある場合は、かかとや足底を冷やすことで症状を緩和します。
- 足底筋力トレーニング足の筋力を強化することで、足底腱膜への負担を軽減し、症状の改善を図ります。
- ❷ 薬物療法
-
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)痛みや炎症を和らげるために、医師の指導のもと服用します。局所にステロイド注射を行う場合もあります。
- ❸ 物理療法
-
- 超音波治療や電気治療炎症を軽減し、血流を改善するために、理学療法士による物理療法が行われることがあります。
- 体外衝撃波治療皮膚から衝撃波を与え、患部の末梢神経を鈍化させます。即時的に疼痛が改善することがあります。新生血管形成を促し、組織再生につながるという報告もあります。
回復とリハビリテーション
- 保存療法での回復
- 多くの場合、保存療法で症状が改善し、痛みが軽減します。ストレッチや筋力トレーニングを続けることで、再発を防ぎます。
- 手術後のリハビリテーション
- 手術を受けた場合、術後のリハビリテーションが必要です。リハビリテーションでは、足底の柔軟性と筋力を回復させるエクササイズが行われます。
症状
- 適切な靴選び
- クッション性が高く、足底腱膜をサポートする靴を選ぶことが大切です。特に長時間歩く際や運動をする際には、足底に負担をかけない靴が推奨されます。
- ストレッチの習慣化
- 足底腱膜やふくらはぎのストレッチを日常的に行い、柔軟性を保つことが予防につながります。
- 体重管理:
- 適切な体重を維持することで、足底腱膜にかかる負担を軽減します。
まとめ
足底腱膜炎は、足底腱膜に炎症が生じることでかかとや足裏に痛みを引き起こす疾患です。長時間の立ち仕事や不適切な靴、足の形状や体重増加などが原因で発生します。保存療法が一般的な治療法であり、ストレッチやインソールの使用、安静が重要です。適切な靴選びや日常的なストレッチが予防のポイントです。
足関節捻挫
足関節捻挫(そくかんせつねんざ)は、足首をひねったり、転倒したりした際に足関節の靭帯が損傷するケガのことです。特に外側の靭帯が損傷することが多く、日常生活の中でもよく見られる一般的なケガです。スポーツ中や不安定な地面での歩行中などに発生しやすいです。
症状
- 足首の痛み
- 足首の外側(もしくは内側)が痛むことが多く、ひねった瞬間から痛みを感じます。
- 腫れ
- 足首周囲に腫れが生じ、時間とともに腫れが広がることがあります。
- あざ(内出血)
- 捻挫後、数日経つと青黒いあざができることがあります。これは靭帯損傷による出血が皮膚の下に広がるためです。
- 足を動かす時の痛み
- 首を動かそうとすると痛みが強くなり、歩行が困難になることがあります。重症の場合、全く足をつけないほどの痛みを感じることもあります。
- 足首の不安定感
- 足をひねると、足首が不安定に感じ、支えが弱くなることがあります。
靭帯が完全に切れてしまうと、足首の安定性が失われます。
原因
- ❶ 不安定な地面での歩行
- 凸凹のある場所や、柔らかい地面でバランスを崩して足をひねり、捻挫することがあります。
- ❷ スポーツ
- 特にバスケットボール、サッカー、バレーボールなど、ジャンプや急な方向転換を必要とするスポーツでは足関節捻挫が発生しやすいです。
- ❸ 靴の不適切な使用
- 適切なサポートがない靴を履くことで、足首が安定せず、捻挫しやすくなります。
- ❹ 筋力の不足
- 足首周りの筋力が不足していると、足首を守ることができず、捻挫のリスクが高まります。
診断
- ❶ 問診と視診
- 痛みの部位やケガの起こり方について聞いた後、腫れや内出血、圧痛(押した時の痛み)の場所を確認します。
- ❷ 徒手検査
- 足首を動かし、靭帯の損傷程度や不安定感を確認します。
- ❸ 画像検査
- X線検査骨折がないか確認するために行います。捻挫の場合でも、成長期の場合、まれに骨片が剥がれる「剥離骨折」が起きていることがあります。
- MRI検査靭帯の損傷具合や腱の状態を詳細に確認するために行います。重度の捻挫の場合、手術が必要かどうかを判断するために用いられることがあります。
治療
- ❶ RICE療法(初期対応)
- Rest(安静)足首を休め、損傷した靭帯を保護します。動かさないことで回復を促進します。
- Ice(冷却)捻挫後すぐにアイシングを行い、炎症を抑え、腫れや痛みを軽減します。1回につき15〜20分、1日に数回行います。
- Compression(圧迫)包帯やサポーターで足首を軽く圧迫することで、腫れを抑えます。
- Elevation(挙上)足首を心臓より高い位置に上げることで、腫れを防ぎ、血流を改善します。
これらは、受傷直後のみで、病院受診までの対応と考えておいてください。
- ❷ 保存療法
- 固定具の使用サポーターやテーピングで足首を固定し、靭帯が回復するまでの間、足首を保護します。軽度から中程度の捻挫の場合、2〜3週間ほどの固定で回復が見込まれます。
- リハビリテーション物理療法により、腫脹と痛みを軽減させます。痛みが和らいだ後は、足首の可動域や筋力を回復させるためのリハビリテーションを行います。ストレッチやバランス訓練を通じて再発予防を行います。
- 薬物療法非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を用いて、痛みや炎症を抑えることができます。
- ❸ 手術療法
- 重度の捻挫で靭帯が完全に断裂した場合や、足首の不安定感が長期間続く場合には、手術が検討されます。手術では損傷した靭帯を修復し、足首の安定性を回復させます。
回復とリハビリテーション
- 軽度の捻挫
- 1〜2週間で回復し、通常の活動に戻ることができます。
- 中程度の捻挫:
- 3〜6週間の治療期間が必要で、完全なリハビリテーションを経て回復します。
- 重度の捻挫
- 完全回復には数ヶ月かかることがあり、特にスポーツ復帰にはリハビリテーションが重要です。
予防
- ストレッチと筋力トレーニング
- 足首の柔軟性を高めるストレッチと、周囲の筋肉を強化する筋力トレーニングを行うことで、足首の安定性が向上し、捻挫を防げます。
- 適切な靴の選択
- サポート力のある靴を選び、足首への負担を軽減します。スポーツを行う際には、競技に適した靴を履くことが重要です。
- バランストレーニング
- 不安定な場所での運動やスポーツ時には、バランス感覚を高める訓練が役立ちます。近年、再発予防に効果があるという報告もみられます。
まとめ
足関節捻挫は、足首の靭帯が損傷することで痛みや腫れが生じるケガです。適切な初期対応と保存療法が効果的ですが、重症の場合には手術が必要になることもあります。予防には筋力トレーニングや適切な靴の選択が重要です。
シーバー病
シーバー病(Sever病)は、成長期の子どもに発生するかかとの痛みの一種で、かかとの骨(踵骨:しょうこつ)の成長板が炎症を起こす骨端症と呼ばれる疾患の1つです。特に活発な子どもやスポーツをしている子どもに多く見られます。かかとの骨は成長途中にあり、成長板が閉じるまでの間、繰り返される負荷によって痛みや炎症が生じることがあります。シーバー病は10歳前後の子どもによく見られ、特に男の子に多いです。
症状
- ❶ かかとの痛み
- かかとに鈍い痛みや違和感があり、特に運動中や運動後に痛みが強くなります。
- ❷ 痛みの位置
- 痛みは通常、かかとの後ろや側面に感じられます。
- ❸ 腫れや圧痛
- かかとを押すと痛みが増すことがあり、軽い腫れが見られることもあります。
- ❹ 歩行の変化
- 痛みを避けるために、かかとをつけずに歩こうとしたり、つま先歩きになったりすることがあります。
- ❺ 片方または両方のかかとに痛み
- 症状は片方のかかとに出ることもあれば、両方に出ることもあります。
原因
- ❶ 成長期の骨の発達
- 成長期に骨の成長が急速に進むと、骨にかかる負荷が大きくなり、かかとの成長板に炎症が生じやすくなります。シーバー病は、この成長板の炎症によるものです。
- ❷ 繰り返しの負荷
- スポーツや激しい運動により、かかとに繰り返し衝撃が加わることが原因です。特にジャンプやランニングを頻繁に行うスポーツ(サッカー、バスケットボール、陸上競技など)に参加している子どもは、シーバー病になりやすいです。
- ❸ 硬い地面での運動
- アスファルトやコンクリートなどの硬い地面で繰り返し運動をすると、かかとに強い衝撃がかかり、成長板に炎症が起こりやすくなります。
- ❹ 筋肉の硬直
- 特にふくらはぎの筋肉が硬いと、アキレス腱がかかとに強い引っ張り力をかけ、成長板に負担がかかることがあります。
診断
- ❶ 問診と視診
- 痛みの部位や症状が発生した時期、運動習慣などを確認します。かかとを押した際に痛みが出るかどうかも確認します。
- ❷ 画像検査
- シーバー病は通常、X線検査などの画像検査では確認されません。診断は主に症状と触診によって行われます。ただし、他の疾患を除外するために、場合によってはX線検査が行われることがあります。
治療
- ❶ 安静と休息
- かかとへの負担を減らすために、運動を一時的に中止し、安静を保つことが重要です。痛みが和らぐまで運動を控え、日常的な活動もかかとに負担をかけないように調整します。
- ❷ アイシング
- 痛みがある場合、アイシングを行い、炎症を抑えることができます。1回15〜20分、1日に数回行うと効果的です。
- ❸ ストレッチと筋力強化
- ふくらはぎやアキレス腱のストレッチを行うことで、かかとへの負担を減らすことができます。足首やふくらはぎの柔軟性を高めるストレッチや、筋力を強化するエクササイズも効果的です。
- ❹ インソールやパッドの使用
- クッション性のあるインソールやかかとのパッドを靴に入れることで、かかとにかかる衝撃を和らげ、痛みを軽減します。
- ❺ 薬物療法
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を用いて、痛みや炎症を抑えることができます。ただし、子どもには適切な用量で処方される必要があります。
回復と予後
- シーバー病は、成長が落ち着くとともに自然に治癒する疾患です。通常、数ヶ月から1年程度で痛みが治まり、運動にも問題なく復帰できます。
- 適切な治療を行うことで、長期的な後遺症を残すことはほとんどありません。
予防
- 適切な靴の選択
- クッション性の高い靴を履くことで、かかとへの衝撃を和らげます。
- ストレッチと筋肉の柔軟性向上
- 特にふくらはぎのストレッチを行い、アキレス腱やかかとへの負担を減らすことが予防につながります。
- 運動のバランス
- 過度な運動を避け、適切な休息を取り入れることで、シーバー病を予防することができます。
まとめ
シーバー病は、成長期の子どもに発生するかかとの成長板の炎症による痛みで、特にスポーツをしている子どもに多く見られます。適切な安静、アイシング、ストレッチなどの保存療法で痛みは和らぎ、成長が進むにつれて自然に治癒します。運動をし過ぎないように注意し、適切な靴を選ぶことで予防することが可能です。
アキレス腱断裂
アキレス腱断裂(アキレスけんだんれつ)は、ふくらはぎの筋肉と踵(かかと)の骨をつなぐアキレス腱が部分的または完全に切れてしまうケガです。アキレス腱は人体の中で最も太く、強い腱ですが、スポーツや日常の動作中に突然断裂することがあります。特に30~50代の男性に多く見られ、スポーツをしている人や急な運動を行った際に発生しやすいです。
症状
- 突然の激しい痛み
- 断裂が起こった瞬間、かかとやふくらはぎに「バチッ」や「パチン」といった音がして、鋭い痛みが走ります。人によっては蹴られたような感覚を感じることもあります。
- 腫れや内出血
- 断裂後、腱周囲が腫れ、場合によっては内出血が見られます。
- 歩行困難
- かかとを上げる動作(つま先立ち)ができなくなり、足に力が入らなくなるため、歩行が困難になります。完全断裂でも歩行できる方もいらっしゃいます。
- アキレス腱のくぼみ
- 完全断裂の場合、腱が切れた部分にくぼみができることがあります。
- 軽度の痛みもあり得る
- 痛みは時間とともに和らぐこともありますが、足を正常に動かせない状態が続きます。
原因
- ❶ 急激な動作
- スポーツ中に急なダッシュやジャンプ、急停止などの動作を行う際に発生しやすいです。特にバスケットボール、サッカー、テニスなどで多く見られます。
- ❷ 加齢によるアキレス腱の劣化
- 年齢を重ねると腱が硬くなり、柔軟性が低下するため、断裂のリスクが高まります。特に30~50代で発生しやすいです。
- ❸ 過度の運動
- アキレス腱に繰り返し負荷がかかることによって、腱が疲労し、断裂することがあります。
- ❹ 準備運動不足
- 運動前のストレッチやウォーミングアップを十分に行わないと、アキレス腱に急激な負荷がかかり、断裂のリスクが高まります。
診断
- ❶ 問診と視診
- 断裂が起こった際の状況や症状を確認し、腱にくぼみがないかなどを視診で確認します。
- ❷ トンプソンテスト
- 患者がうつ伏せになり、ふくらはぎを軽く押して足首が動くかどうかを確認するテストです。正常であれば、押すとつま先が下を向きますが、アキレス腱が断裂している場合、足首は動きません。
- ❸ 画像検査
- 超音波検査アキレス腱の断裂箇所や損傷の程度を確認するために行われます。
- MRI検査詳細な断裂の状態を把握するために使われることがありますが、通常は超音波で十分です。
治療
アキレス腱断裂の治療は、保存療法と手術療法の2つに分けられます。治療法の選択は、年齢や活動レベル、断裂の程度によって異なります。
- ❶ 保存療法
- ギプスや装具での固定断裂部分を自然に治癒させるために、足首を下向き(底屈位)にした状態でギプスや装具で固定します。これにより腱が癒着し、再生するのを待ちます。装具は数週間から数ヶ月間装着し、その後リハビリテーションを行います。
- 適応例保存療法は、手術のリスクが高い人に適しています。できる限り、手術が望ましいと考えています。
- ❷ 手術療法
- 断裂した腱の縫合手術では切れた腱を縫合して修復します。手術後もギプスや装具で固定し、リハビリテーションを行います。手術は特に運動を積極的に行う人や、再断裂のリスクを最小限にしたい人に適しています。
- 適応例手術療法は、アスリートやスポーツ復帰を早く望む人、それ以外の一般の方にも推奨されます。
リハビリテーションと回復
- リハビリテーション
- 保存療法や手術療法のいずれの場合でも、固定解除後にはリハビリテーションが重要です。ストレッチや筋力トレーニングを行い、足首やふくらはぎの柔軟性と筋力を回復させます。リハビリテーションには数ヶ月かかることが多く、完全なスポーツ復帰には半年以上かかることもあります。
- 再断裂のリスク
- 適切なリハビリテーションを行うことで、再断裂のリスクを軽減できます。ただし、保存療法では手術療法に比べてやや再断裂のリスクが高いとされています。
予防
- ❶ ストレッチとウォーミングアップ
- 運動前にしっかりとふくらはぎやアキレス腱をストレッチし、筋肉と腱を温めることで断裂のリスクを減らすことができます。
- ❷ 適度な運動
- 過度な運動を避け、筋肉と腱に適度な休息を与えることで、腱への負担を軽減します。
- ❸ 柔軟性と筋力の維持
- 定期的な運動で筋肉と腱の柔軟性と筋力を維持することで、アキレス腱の断裂を予防します。
まとめ
アキレス腱断裂は、特にスポーツ中や日常生活の急な動作で発生することが多いケガです。治療には保存療法と手術療法があり、個人の活動レベルや年齢に応じて適切な治療法が選ばれます。予防にはストレッチや適度な運動が重要であり、リハビリテーションによって再発防止と完全な回復を目指します。
足関節骨折
足関節骨折(そくかんせつこっせつ)は、足首にある骨のいずれか、もしくは複数が折れてしまう状態です。足首には、脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、距骨(きょこつ)という3つの骨が関与しており、これらの骨が捻挫や強い衝撃などで骨折することがあります。足関節骨折は日常生活やスポーツ中の転倒、交通事故などで発生しやすく、治療には適切な固定や手術が必要です。
症状
- 強い痛み
- 骨折直後、足首に激しい痛みを感じ、足を動かすことが困難になります。
- 腫れ
- 足首周辺がすぐに腫れ、時には内出血も見られます。
- 変形
- 骨がずれてしまうことがあり、足首が不自然な角度で曲がっている場合があります。
- 歩行不能
- 足に体重をかけることができず、歩くことができなくなります。 スポーツ現場では、歩行できない場合に骨折を第一に考えます。
- 圧痛
- 足首を押すと強い痛みがあり、触れるだけでも痛みを感じます。
原因
- ❶ 捻挫や転倒
- 足首をひねったり、転んだりした際に、足関節に過度の負荷がかかって骨折することがあります。特にスポーツ中や高いところからの落下でよく見られます。
- ❷ 強い衝撃
- 交通事故や激しい接触プレーなどで、足首に強い力が加わった際に骨折が発生することがあります。
- ❸ 骨粗鬆症
- 高齢者や骨密度が低下している人は、軽い外傷でも骨折しやすくなります。
診断
- ❶ 問診と視診:
- どのようにして骨折が発生したかを確認し、腫れや変形が見られるかを診察します。
- ❷ 画像検査
-
- X線検査骨折の場所や程度、骨のずれを確認するために行います。
- CTスキャンやMRI骨折が複雑な場合や、靭帯損傷の有無を確認するために使用されることがあります。
治療
足関節骨折の治療法は、骨折の部位や重症度によって異なります。一般的に、保存療法と手術療法の2つがあります。
- ❶ 保存療法
- ギプスや装具による固定骨折が軽度で骨のずれがない場合、ギプスや装具で足首を固定し、骨が自然にくっつくのを待ちます。通常、固定期間は4~8週間程度です。
- 松葉杖の使用足に体重をかけないようにするため、松葉杖を使用して歩行します。
- 適応例骨折が単純で、ずれがない場合に適しています。
- ❷ 手術療法
- 骨の整復と固定骨がずれている場合や、関節にかかる骨折では、手術が必要です。骨を元の位置に戻し、プレートやスクリューで固定します。これにより、骨が正しく治癒し、再び安定した足関節が得られます。
- 適応例複雑骨折や骨がずれている場合、または保存療法が効果的でない場合に行います。
リハビリテーションと回復
- リハビリテーション
- 骨が癒合した後、徐々に足首の動きを取り戻すためにリハビリテーションが行われます。ストレッチや筋力トレーニング、関節の柔軟性を高める運動が含まれます。これにより、歩行能力やバランス感覚を回復させます。
- 体重負荷の段階的増加:
- ギプスや装具が外れた後、徐々に足に体重をかけることが許可されます。リハビリテーションの過程で、足の筋力を強化しながら通常の歩行に戻っていきます。
- 回復期間
- 完全に骨が治癒し、運動や日常生活に戻るまでには、3〜6ヶ月程度かかることが一般的です。
合併症
- 足関節の硬直
- 骨折後に足関節が硬くなることがあり、関節の可動域が制限されることがあります。リハビリテーションが重要です。
- 関節炎のリスク
- 足関節骨折後、特に骨がずれていた場合は、将来的に関節炎を発症するリスクが高まります。
予防
- 適切な靴の着用
- 足首をサポートする靴を履くことで、捻挫や骨折のリスクを減らすことができます。
- ストレッチと筋力強化
- 足首やふくらはぎの筋肉を強化し、柔軟性を高めることで、怪我を予防できます。
- 骨密度の維持
- 特に高齢者は、骨密度を維持するためにカルシウムやビタミンDの摂取、運動を心掛けることが大切です。
まとめ
足関節骨折は、足首に強い負荷や衝撃がかかった際に起こるケガで、強い痛みや腫れ、歩行困難が主な症状です。治療には、ギプスでの固定や手術が必要となる場合があり、リハビリテーションを通じて機能を回復します。骨折後のケアやリハビリテーションが適切であれば、通常は完全な回復が見込まれますが、関節の硬直や関節炎といった合併症を予防するために、リハビリテーションを続けることが重要です。
JONES骨折
JONES骨折(ジョーンズこっせつ)は、足の外側にある第5中足骨(足の小指の付け根の骨)の基部に起こる疲労骨折です。この骨折は、通常、足首をひねったり、足に強い負荷がかかったりしたときに発生します。きっかけがある場合が多いですが、蓄積した負担による疲労骨折です。特に、スポーツをしている人や、急に方向転換する動きをする人に多く見られます。
症状
- 足の外側の痛み
- 足の小指の付け根あたりに鋭い痛みが生じ、特に体重をかけると強く痛みます。
- 腫れや内出血
- 骨折部位の腫れや内出血が見られることがあります。
- 歩行困難
- 足に体重をかけると痛みが増し、歩くのが困難になることが多いです。
- 慢性化することもある
- 初期の痛みが軽い場合、適切に治療を行わないと、慢性化して治りにくくなることがあります。
原因
- ❶ 足首の捻挫
- 足首を捻った際、足の外側に過度の力が加わり、第5中足骨に負荷がかかって骨折することがあります。
- ❷ 急激な方向転換やジャンプ
- バスケットボールやサッカーなど、急激な方向転換やジャンプを伴うスポーツでよく見られます。
- ❸ 過度な繰り返しのストレス
- 長期間にわたる運動やトレーニングにより、骨に疲労が蓄積し、JONES骨折が発生することがあります。
診断
- ❶ 問診と視診
- 症状や痛みの部位を確認し、足の外側に腫れや圧痛があるかを確認します。
- ❷ 画像検査
-
- X線検査JONES骨折は、X線で確認できますが、稀に骨折線が不明瞭な場合もあります。
- CTやMRI骨折が複雑な場合や、疲労骨折の疑いがある場合には、さらに詳細な画像検査が行われることがあります。
治療
JONES骨折の治療法は、骨折の位置や重症度、患者の活動レベルによって異なります。
- ❶ 保存療法
- ギプスや装具による固定骨折が完全骨折でない場合、ギプスや装具で足を固定し、自然治癒を待ちます。通常、固定期間は6〜8週間程度です。ただし、レントゲン検査で不全骨折と思われても、CTでは完全骨折が見つかることもあります。
- 体重をかけない松葉杖を使用して、治癒期間中は足に体重をかけないようにします。
- 適応例完全骨折ではない場合や、あまり活動しない人に適しています。
- ❷ 手術療法
- 骨の固定疲労骨折であることから、できる限り手術治療がのぞましいと考えられます。手術では、髄内スクリューが第一選択です。
- 適応例アスリートはもちろん、一般の方でも、できる限り手術が望ましいです。
リハビリテーションと回復
- リハビリテーション
- ギプスや装具が外れた後は、足の筋力や柔軟性を回復させるためにリハビリテーションを行います。リハビリテーションは、足首や足の動きを徐々に回復させ、通常の歩行に戻るために重要です。骨癒合のために、体外衝撃波治療も効果的です。
- 体重負荷の段階的増加
- 医師の指導に従い、体重を少しずつ足にかけていきます。
- 回復期間
- 完全な治癒までには通常3〜4ヶ月ほどかかり、スポーツへの復帰にはさらに数ヶ月かかることがあります。
合併症
- ❶ 治りにくい
- JONES骨折は血流が少ない部位で発生するため、他の骨折に比べて治りにくく、再骨折のリスクも高いとされています。
- ❷ 再発リスク
- 適切に治療しないと、再び骨折したり、慢性痛につながることがあります。
予防
- 足の筋力と柔軟性を高める
- 足首や足の周りの筋肉を強化し、ストレッチを行うことで、骨折のリスクを減らすことができます。
- 適切な靴を選ぶ
- 足をしっかりと支える靴を履くことも予防に役立ちます。インソール使用も効果的です。
- 急な運動を避ける
- 十分な準備運動を行い、突然の激しい運動やジャンプを避けることが大切です。
まとめ
JONES骨折は、足の外側の第5中足骨基部に発生する疲労骨折で、繰り返しの負担に加え、捻挫や強い衝撃によって引き起こされます。治療はできる限り手術療法が望ましく、適切な治療とリハビリテーションを行うことで回復します。しかし治りにくい部分であるため、再発リスクを減らすためにもリハビリテーションと予防が重要です。
脛骨疲労骨折
脛骨疲労骨折(けいこつひろうこっせつ)は、脛骨(すねの骨)に生じる骨折で、過度の繰り返しの負荷やストレスが原因で発生します。脛骨疲労骨折は、主にランナーやジャンプを伴うスポーツ選手に多く見られます。完全に骨が折れるわけではなく、骨に小さなひび割れ(微細な骨折)が生じることが特徴です。
症状
- 徐々に増す痛み
- 最初は運動時にのみ痛みが現れますが、徐々に休息時や日常生活でも痛みを感じるようになります。
- 痛みの位置
- 脛骨の中央や下部に痛みが集中し、触れると圧痛がある場合があります。
- 腫れ
- 骨折部位に軽い腫れや、熱感が生じることがありますが、明らかな変形は見られないことがほとんどです。
- 活動困難
- 痛みが強くなると、運動や歩行が困難になります。
原因
- ❶ 過度な運動
- ランニングやジャンプなど、足に繰り返し衝撃が加わる運動を長時間続けると、骨にストレスが蓄積し、疲労骨折を引き起こします。
- ❷ 急激な運動負荷の増加
- 運動強度や頻度を急激に上げると、骨がストレスに耐えきれず、疲労骨折のリスクが高まります。骨折は跳躍型と疾走型にわけられ、くり返しのジャンプ(跳躍)やダッシュ(疾走)は負担と考えられます。
- ❸ 不適切な靴や路面
- クッション性の低い靴や硬い路面で運動することが、脛骨に過度な負荷をかける原因となることがあります。
- ❹ 骨の弱さ
- 骨密度が低下している(骨粗鬆症など)人や、栄養不足の人も、疲労骨折のリスクが高まります。
診断
- ❶ 問診と視診:
- 痛みの場所や症状の経過を確認します。痛みが持続しているか、運動時に悪化するかが重要なポイントです。
- ❷ 画像検査
- X線検査初期段階ではX線では骨折が映らないこともありますが、骨折が進行すると確認できる場合があります。
- MRI疲労骨折の初期段階を検出するためには、MRIが有効です。骨の周りの炎症や微細な骨折を捉えることができます。
- 骨シンチグラフィー骨の新陳代謝の異常を示す検査で、疲労骨折を確認することができます。
治療
脛骨疲労骨折の治療は主に保存療法が中心です。手術が必要となるケースは稀です。跳躍型と呼ばれる、脛骨中央部での疲労骨折の場合は、早期に手術をおすすめすることがあります。
- ❶ 安静と運動制限
- 運動の中止痛みがある期間は、運動を控え、足に負担をかけないことが最も重要です。通常、4〜6週間の安静が必要です。
- 体重をかけない松葉杖を使用して、骨が治癒するまで患部に体重をかけないようにします。
- ❷ 固定
- 装具やギプスによる固定必要に応じて、ギプスやブーツなどで足を固定し、骨がしっかりと癒合するようにサポートします。
- ❸ 痛みの管理
-
- 鎮痛薬の使用痛みが強い場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して痛みを和らげます。ただし、骨の治癒を遅らせる可能性があるため、医師の指示に従います。
- ❹ リハビリテーション
-
- 骨が癒合した後、徐々に運動を再開するためのリハビリテーションを行います。ストレッチや筋力トレーニング、低衝撃の運動(スイミングやサイクリング)を取り入れます。
- 超音波骨折治療や体外衝撃波治療も有効です。
リハビリテーションと回復
- リハビリテーション開始
- 骨が回復し、痛みが消失したら、リハビリテーションを開始します。まずは軽い運動から始め、徐々に強度を上げます。
- 回復期間
- 通常、完全な回復までには6〜8週間かかりますが、重度の疲労骨折の場合、さらに長引くことがあります。
合併症
- 治癒の遅延
- 適切な治療を受けずに運動を続けると、骨の治癒が遅れることがあります。
- 完全骨折への進行
- 疲労骨折を放置すると、完全な骨折に進行する可能性があり、手術が必要になる場合があります。
予防
- 運動量の調整
- 適切な治療を受けずに運動を続けると、骨の治癒が遅れることがあります。
- 適切な靴の使用
- クッション性の高い靴を選び、硬い路面での運動を避けることが、脛骨への負荷を軽減します。
- 休息の確保
- 疲労が蓄積しないよう、十分な休息を取ることも予防につながります。
- 栄養管理
- 骨の健康を保つために、カルシウムやビタミンDの摂取を心掛けることも重要です。
まとめ
脛骨疲労骨折は、繰り返しの運動やストレスによって脛骨に微細な骨折が生じる状態です。主にスポーツ選手に多く見られ、徐々に悪化する痛みが特徴です。治療は安静と運動制限が中心で、早期に治療を開始することで完全回復が期待できます。再発を防ぐためには、運動量の調整や適切な靴選びが重要です。
痛風
痛風(つうふう)は、体内に尿酸が過剰に蓄積され、関節内に尿酸の結晶が形成されることで激しい痛みや炎症を引き起こす病気です。特に足の親指の付け根に強い痛みが現れることが多いですが、他の関節(膝・肘)にも影響を及ぼすことがあります。痛風は突然の発作として現れることが多く、その痛みは非常に強烈です。
症状
- 関節の激しい痛み
- 一般的に、足の親指の付け根(母趾中足趾節関節)が最も影響を受けやすいですが、足首や膝、手首、肘などの関節にも症状が出ることがあります。痛みは突然発生し、数時間以内にピークに達します。
- 関節の腫れと赤み
- 痛みとともに、関節が赤く腫れ、熱を持つことがあります。
- 発作後の不快感
- 最初の激しい痛みが和らいだ後も、関節に不快感や軽い痛みが数日から数週間続くことがあります。
- 発作の頻度
- 痛風発作は、繰り返し発生することがあり、発作の頻度が高まると、関節が恒常的に損傷を受ける可能性があります。
原因
痛風の原因は、血液中に尿酸が過剰に蓄積され、これが関節に結晶として沈着することです。尿酸は、プリン体という物質が分解されることで生成されますが、次のような要因で尿酸の濃度が上昇します。
- ❶ 食生活
- 肉類や魚介類に含まれるプリン体を多く摂取することで、尿酸が増加します。また、アルコール、特にビールや日本酒も尿酸値を上昇させる要因です。
- ❷ 代謝異常
- 尿酸が適切に体外へ排出されないことで、血液中の尿酸濃度が上昇します。
- ❸ 遺伝的要因
- 家族に痛風の人がいる場合、リスクが高くなります。
- ❹ 肥満
- 体重が多いと、尿酸の代謝が悪くなるため、痛風のリスクが高まります。
- ❺ 腎臓機能の低下
- 尿酸が腎臓から十分に排出されない場合、血中の尿酸濃度が高まります。
- ❻ 特定の薬剤
- 利尿薬や免疫抑制薬など、尿酸値を上昇させる薬もあります。
診断
痛風は、以下の方法で診断されます。
- ❶ 血液検査
- 血液中の尿酸濃度を測定しますが、発作中は必ずしも尿酸値が高いとは限りません。
- ❷ 関節液検査
- 痛風発作が起こっている関節から液を採取し、尿酸結晶の有無を確認します。
- ❸ 画像検査
- X線や超音波、MRIなどで関節の損傷や尿酸結晶の存在を確認することがあります。
治療
痛風の治療には、発作の症状を抑えることと、尿酸値を管理することの2つの目的があります。
- ❶ 痛風発作の治療
-
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)痛みと炎症を抑えるために使用されます。
- コルヒチン痛風発作を早期に鎮める薬です。副作用として下痢が生じることがあります。
- ステロイド薬NSAIDsが使用できない場合に、ステロイドが使用されることがあります。
- ❷ 尿酸値の管理
-
- 尿酸生成抑制薬アロプリノールやフェブキソスタットなどの薬は、体内で尿酸が作られるのを抑えるために使用されます。
- 尿酸排泄促進薬尿酸の排泄を促す薬(プロベネシドなど)も用いられます。
- 生活習慣の改善食事療法や運動、アルコールの制限が尿酸値をコントロールする上で重要です。
予防
痛風を予防するためには、尿酸値をコントロールすることが大切です。以下のような対策が有効です。
- ❶ 食生活の改善
-
- プリン体の多い食品(赤身の肉、魚介類など)を控える。
- アルコール、とくにビールを控える。
- 水分を多く摂取して尿酸の排出を促す。
- 果糖を多く含む飲み物や食品を避ける。
- ❷ 運動
- 規則的な運動で肥満を防ぎ、体重管理を行うことが大切です。
- ❸ ストレス管理
- ストレスが尿酸値の上昇に関与する場合があるため、適切なストレス管理も重要です。
まとめ
痛風は、尿酸が関節に結晶化することで激しい痛みを引き起こす疾患です。発作の痛みは強烈ですが、適切な治療と尿酸管理により症状のコントロールが可能です。生活習慣の改善と定期的な医療管理が、痛風発作を予防し、生活の質を向上させるために重要です。
偽痛風
偽痛風(ぎつうふう)は、痛風と似た症状を持つ疾患ですが、原因となる結晶の種類が異なります。痛風は尿酸結晶が関節に沈着して起こるのに対し、偽痛風ではピロリン酸カルシウムという別の結晶が関節内に沈着することで発症します。主に膝関節に影響を及ぼすことが多いです。
症状
- 急激な関節痛
- 偽痛風では、特に膝や手首、肘などの大きな関節に急激な痛みが発生します。
- 関節の腫れと赤み
- 痛風と同様に、関節が赤く腫れ、熱を持つことがあります。
- 発作の頻度
- 偽痛風の発作も繰り返されることがあり、痛みが数日から数週間続くことがあります。
- 関節のこわばり
- 長期的な偽痛風では、関節が硬くなり、動きが制限されることがあります。
原因
偽痛風の原因は、関節内にピロリン酸カルシウムの結晶が蓄積されることです。以下のような要因が結晶の形成を促進します。
- ❶ 加齢
- 偽痛風は、特に高齢者に多く見られます。年を取ると、関節内にカルシウムが沈着しやすくなります。
- ❷ 関節の損傷や手術:
- 過去に関節に損傷を受けたり、手術を行ったりした部位に偽痛風が発症しやすくなります。
- ❸ その他の疾患
- 甲状腺機能低下症、腎不全、遺伝性の代謝異常なども偽痛風のリスクを高めます。
- ❹ 脱水
- 体内の水分不足により、カルシウム結晶が沈着しやすくなります。
診断
偽痛風の診断は、以下の方法で行われます。
- ❶ 関節液検査
- 痛風と同じく、関節から液を採取し、ピロリン酸カルシウム結晶を顕微鏡で確認します。これが確定診断の鍵です。
- ❷ X線検査
- 偽痛風の場合、X線画像で関節内のカルシウム沈着が確認されることがあります。
- ❸ 血液検査
- 痛風との鑑別のため、尿酸値やその他の炎症マーカーを調べますが、尿酸値は通常正常です。
治療
偽痛風の治療は、主に発作の痛みや炎症を抑えることを目的としています。
- ❶ 痛みと炎症の抑制
-
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)痛みと炎症を緩和するために使われます。
- コルヒチン偽痛風の発作を抑えるために使用されることがありますが、効果は痛風ほど強くありません。
- ステロイド注射関節に直接ステロイドを注射することで、炎症を迅速に鎮めることができます。
- ❷ 慢性的な偽痛風への対応
- 偽痛風は痛風ほど頻繁に発作が起きないことが多いですが、関節に結晶が蓄積している場合、長期的な管理が必要です。
- リハビリテーションや運動療法により、関節の柔軟性を保ち、症状の進行を防ぎます。
予防
偽痛風そのものを完全に予防することは難しいですが、以下のような対策で発作の頻度や症状を軽減できる可能性があります。
- ❶ 水分補給
- 脱水を避けるため、十分な水分を摂取することが大切です。
- ❷ 栄養バランスの取れた食事
- カルシウムやリン酸代謝に影響を与える疾患の予防を意識した食事を心がけましょう。
- ❸ 関節の保護
- 関節に過度な負荷をかけないように注意し、関節を怪我から守ることが重要です。
まとめ
偽痛風は、ピロリン酸カルシウムの結晶が関節に沈着することで引き起こされ、痛風に似た激しい関節痛や腫れを伴います。治療は主に痛みや炎症の抑制を目的とし、発作が起きた際には迅速な対応が求められます。痛風との区別が重要で、診断には関節液検査が有効です。