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膝の疾患

オスグッド病

オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)は、主に成長期の子供や青少年、特にスポーツを行っている若者に多く見られる膝の障害です。正式には「脛骨粗面(けいこつそめん)炎」とも呼ばれ、膝の下にある脛骨粗面という部分に炎症や痛みが生じる病気です。

症状

膝蓋骨の下の痛み
特に膝蓋骨の下にある脛骨粗面に痛みを感じます。痛みは運動やジャンプ、走る動作で悪化し、安静にすると軽減することがあります。
腫れや隆起
膝下の脛骨粗面が腫れたり、骨が隆起して見えたりすることがあります。触ると痛みが増します。
片側または両側の膝に発生
片側だけに発症することもありますが、両側の膝に発生することもあります。

原因

オスグッド病の原因は、成長期における骨や筋肉、腱の発達が追いつかず、膝の下にある脛骨粗面に負荷がかかることです。特に以下のようなスポーツ活動が影響します。

ジャンプや走る動作を伴うスポーツ
バスケットボールやサッカー、陸上競技など、膝に大きな負荷がかかるスポーツで発症することが多いです。
成長期の骨の発達
成長期では骨が急激に成長し、筋肉や腱がその成長に追いつかないことが原因となります。特に、脛骨粗面はまだ完全に硬化しておらず、脛骨と膝蓋腱(膝の下の腱)が繰り返し引っ張られることで炎症や痛みが生じます。

診断

オスグッド病の診断は、以下の方法で行います。

問診と診察
痛みの部位や運動による影響、腫れなどを確認します。膝蓋骨下の脛骨粗面に触れることで、典型的な痛みが確認されます。
X線検査
必要に応じてX線撮影を行い、脛骨粗面に骨の変化が見られるかどうかを確認します。ただし、X線で明確な異常が見られないこともあります。

治療

オスグッド病は成長期が終わると自然に治ることが多いですが、症状を軽減させるための治療が行われます。

❶ 保存療法
  • 安静痛みが強い場合は、膝への負荷を減らすために運動を控え、安静を保ちます。
  • アイシング膝の腫れや痛みを和らげるために、アイスパックを使って患部を冷やすことが効果的です。
  • ストレッチ大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)やハムストリングス(太ももの裏の筋肉)のストレッチを行い、筋肉の柔軟性を高めて、膝への負荷を軽減します。
❷ 痛みが強い場合の治療
  • 鎮痛薬の使用アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して、痛みや炎症を軽減します。
  • 理学療法理学療法士の指導のもとで筋力を強化し、正しい動作を学びながらリハビリテーションを行います。
❸ 重症例の場合
  • 手術まれに、症状が長期間続き保存療法が効果を示さない場合、手術が行われることがありますが、これは非常に稀です。

リハビリテーションと回復

リハビリテーションの進め方
症状が改善するまでに数か月かかることがありますが、運動を再開する際は、痛みがなくなるまで徐々に膝を使う運動を再開します。
完全な回復
オスグッド病は成長期が終わると、自然に症状が消えることが多いため、最終的には完全に回復するケースがほとんどです。

予防

ストレッチと筋力強化
スポーツ活動前には十分なストレッチを行い、膝周囲の筋肉をしっかりとほぐしてから運動することが重要です。また、太ももの前後の筋肉をバランスよく強化することが予防につながります。
休息の取り方
膝に痛みを感じたら、無理をせず休息を取り、症状が悪化しないようにすることが大切です。

まとめ

オスグッド病は、成長期の子供や青少年に多い膝の障害で、特に運動が多い人に発生します。膝下の痛みや腫れが主な症状であり、保存療法による管理が基本です。成長が完了するにつれて症状は自然に治ることが多く、日常生活やスポーツ活動に早期復帰するためには、適切なリハビリテーションや予防が重要です。

膝半月板損傷

膝半月板損傷(ひざはんげつばんそんしょう)は、膝関節内にある「半月板」という軟骨組織が損傷することで、膝に痛みや動きの制限を引き起こす障害です。スポーツ中のけがや加齢による劣化が主な原因で、特に激しい動作を伴うスポーツをしている人や高齢者に多く見られます。

半月板の役割

半月板は、膝関節の中で大腿骨と脛骨の間にあるC字形の軟骨で、膝にかかる衝撃を吸収し、関節の安定性を保つ役割を果たしています。膝には「内側」と「外側」の2つの半月板があり、これが損傷すると膝に痛みや不安定感が生じます。

症状

膝の痛み
膝関節の内側または外側に痛みを感じます。特に膝を曲げ伸ばしするときや、捻った動作をしたときに痛みが強くなることがあります。
膝の腫れ
損傷後、膝に腫れが生じることがあり、炎症による関節液のたまり(関節水腫)を引き起こすことがあります。
膝のロッキング現象
半月板の損傷がひどい場合、膝が引っかかって動かなくなる「ロッキング現象」が起こることがあります。これは、破れた半月板の一部が膝の動きを妨げるためです。
関節の不安定感
膝に力が入らなかったり、膝がガクガクしたりするような不安定感を感じることがあります。

原因

❶ スポーツによる外傷
  • ジャンプや急な方向転換、膝をひねる動作を伴うスポーツ(サッカー、バスケットボール、ラグビーなど)で半月板が損傷しやすいです。
  • 特に、膝を強くひねったり、膝に外力がかかったりした際に半月板が損傷することがあります。
❷ 加齢による変性
  • 加齢に伴い、半月板が摩耗し脆くなることがあります。このため、わずかな動作や日常の軽い動きでも損傷が起こることがあります。
  • 高齢者では、スポーツやけがをしていなくても、日常生活の中で自然に半月板が損傷することがあります。

診断

半月板損傷の診断には、以下の方法が使われます。

問診と診察
けがの状況や症状について詳しく聞き、膝の動きや痛み、腫れを確認します。
画像検査
  • MRI半月板や軟骨などの軟部組織を詳細に確認できるMRIが最も有効な検査です。半月板の裂け目や損傷の範囲を確認できます。
  • X線半月板自体は軟骨なのでX線では映りませんが、骨に異常がないかを確認するためにX線撮影が行われることがあります。

治療

半月板損傷の治療は、損傷の程度や患者の年齢、活動レベルによって異なります。保存療法から手術まで幅広い治療法が選択されます。

❶ 保存療法(軽度の損傷や高齢者の場合)
  • 安静膝に負担をかけないように安静にし、日常の活動を制限します。
  • アイシング炎症や腫れを抑えるために、患部を冷やします。
  • サポーターや杖の使用膝のサポーターや杖を使って、膝への負担を軽減します。
  • 痛み止めの服用非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して、痛みや腫れを抑えます。
  • リハビリテーション筋力トレーニングやストレッチを行い、膝周辺の筋肉を強化することで、膝関節の安定性を保ちます。
❷ 手術療法(重度の損傷やスポーツ選手の場合)
  • 関節鏡手術半月板の損傷が大きい場合、関節鏡(小さなカメラを使った手術)を行い、損傷部分を修復するか、部分切除することがあります。これは比較的負担が少なく、短期間で日常生活に復帰できる治療法です。
  • 半月板縫合術半月板が縫合可能な場合は、損傷した部分を縫って修復します。できる限り縫合を目指すべきと言われています。
  • 半月板部分切除術半月板の損傷部分がひどく修復が難しい場合、その部分を切除します。切除範囲が大きい場合、将来的に変形性膝関節症のリスクが高まることがあります。

リハビリテーションと回復

リハビリテーション
保存療法でも手術後でも、膝の筋力強化や関節の柔軟性を取り戻すためのリハビリテーションが必要です。特に太ももの前面の大腿四頭筋の筋力を強化することで、膝関節の安定性を保ちます。
回復期間
保存療法の場合は数週間から数か月で症状が改善することが多いですが、手術後はリハビリテーション期間も含めて3~6か月ほどかかることがあります。

予防

膝の筋力強化
日常的に膝周りの筋力、特に太ももの前後の筋肉(大腿四頭筋やハムストリングス)を鍛えることで、膝関節を安定させ、半月板への負担を軽減します。
ストレッチとウォームアップ
スポーツを行う前には、十分なウォームアップとストレッチを行い、膝関節の柔軟性を高めましょう。

まとめ

膝半月板損傷は、スポーツや加齢によって膝に負荷がかかり、膝の中にある半月板が損傷することによって生じる障害です。保存療法や手術療法があり、早期の診断と適切な治療、リハビリテーションが回復への鍵となります。予防には、膝周りの筋力強化や柔軟性を保つことが重要です。

膝蓋下脂肪体炎

膝蓋下脂肪体炎(しつがいかしぼうたいえん)は、膝のお皿(膝蓋骨)の下にある「脂肪体」に炎症が起こり、膝に痛みや腫れが生じる疾患です。この脂肪体は、膝の衝撃を吸収し、膝関節の動きを滑らかにする役割があります。スポーツ活動や過度な膝の使用によって炎症が引き起こされることが多いです。

症状

膝の前部の痛み
膝のお皿(膝蓋骨)の下部に痛みが現れ、特に膝を曲げ伸ばしする際に痛みが増します。脂肪体は末梢神経や血管が多く存在するため、「電気が走った」など鋭い痛みを訴える方が多くいらっしゃいます。
腫れや圧痛
膝蓋骨の下に腫れや圧痛が生じることがあり、触ると痛みが強まることがあります。
動きの制限
膝を動かすと痛みが生じるため、動作が制限されることがあります。
長時間の立位や座位での悪化
長時間の立位や座ったまま膝を曲げていると痛みが悪化しやすいです。

原因

❶ 過度な膝の使用
  • 激しいスポーツや運動、膝を繰り返し使用することで、膝蓋下脂肪体に負担がかかり炎症が発生します。特にランニングやジャンプ動作が多いスポーツ(ランナー、バスケットボール選手、バレーボール選手など)で発症しやすいです。
  • スポーツ活動のなかで、横方向へのステップや、膝を捻る動きで痛みを感じる方が多いです。また日常生活のなかでも、椅子からの立ち上がりや、自動車の乗降など軽微な外力でも、膝を捻ってしまい痛みが生じることがあります。
❷ 膝関節の過伸展
  • 膝を必要以上に伸ばす動作(過伸展)が続くと、脂肪体が圧迫されて炎症を引き起こします。
❸ 外傷
  • 膝の前部に強い衝撃が加わる外傷や、転倒によって脂肪体が傷つくことで炎症が生じることがあります。

診断

膝蓋下脂肪体炎の診断は、以下の方法で行います。

問診と診察
膝前部の痛みや運動時の症状について詳しく伺い、膝蓋骨の下部を押すことで痛みを確認します。痛みの場所は、意外とご本人でもわからないことが多く、念入りに圧痛を探します。
画像検査
  • MRI半月板や軟骨など、別の疾患を鑑別するためにMRI撮影をおこなうことがあります。脂肪体そのものの異常を指摘することは難しいと言われています。
  • 超音波検査脂肪体の炎症や滑走性を確認するために、超音波検査がおこなわれることもあります。

治療

膝蓋下脂肪体炎の治療は、まず保存療法が中心となります。手術治療は、改善が見込まれないこともあるので、原則おすすめしません。

❶ 保存療法
  • アイシング膝の腫れや痛みを抑えるために、患部を冷やします。特に運動後に行うと効果的です。
  • サポーターやテーピング膝のサポーターやテーピングを使用し、膝蓋下脂肪体への圧力を軽減します。
  • 痛み止めの服用非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して、痛みや炎症を軽減します。
❷ リハビリテーション
  • 膝周囲の筋緊張により、下腿(すね)が外旋方向にねじれていることが多いため、筋緊張をリリースして、下腿の向きを戻します。これにより可動域制限の改善が見込まれます。
  • 膝周囲の筋肉(特に大腿四頭筋)のストレッチや、内側ハムストリングや内側広筋のトレーニングを行い、筋力発揮のバランスを整えます。膝に過度な負担がかからないよう、正しいフォームでの動作を学ぶことも大切です。
❸ 注射治療(場合によって)
  • 炎症が強い場合、脂肪体周囲にハイドロリリース注射を行い、脂肪体の滑走性を改善させることがあります。

予防

膝の筋力強化
膝の前後の筋肉(大腿四頭筋やハムストリングス)をバランスよく鍛えることで、膝への負担を軽減します。
ストレッチ
スポーツや運動前には、しっかりと膝周りの筋肉をストレッチし、柔軟性を保ちます。
正しいフォームの指導
膝を使う動作を行う際に、膝を過伸展させないように正しいフォームを意識し、スポーツ時の動作を見直します。

まとめ

膝蓋下脂肪体炎は、膝のお皿の下にある脂肪体に炎症が起こる疾患で、スポーツや過度な膝の使用が主な原因です。膝の前部に痛みや腫れを引き起こし、リハビリテーションが必要です。保存療法が基本ですが、適切なケアを行うことで早期回復が期待できます。

膝前十字靭帯損傷

膝前十字靭帯損傷(ひざぜんじゅうじじんたいそんしょう)は、膝の中央に位置する前十字靭帯(ACL: Anterior Cruciate Ligament)が損傷または断裂するけがです。前十字靭帯は、膝関節の安定性を保つ重要な役割を担っており、特に膝が前方にズレたり、捻れたりする動きを防ぎます。この靭帯が損傷すると、膝に不安定感が生じ、動作が制限されます。

症状

膝の激しい痛み
けがをした瞬間に強い痛みを感じることが多く、痛みのためにその場で動けなくなることがあります。
膝の腫れ
けがの後、膝がすぐに腫れます。これは、靭帯が損傷した際に関節内で出血するためです。
膝の不安定感
前十字靭帯が損傷すると、膝が不安定になり、歩行時に膝が「ガクッ」と外れる感じがすることがあります。特に、方向転換やジャンプの着地でこの不安定感が強くなります。
膝の可動域制限
膝を曲げたり伸ばしたりする動作が痛みによって制限されることがあります。

原因

❶ スポーツ中のけが
  • 前十字靭帯損傷は、スポーツ中の急な方向転換、ジャンプの着地、または衝突によって発生します。特にサッカー、バスケットボール、スキーなどのスポーツでよく見られます。
  • 足が固定された状態で体が回転する動きや、膝に強い負荷がかかるジャンプや着地の際に損傷しやすいです。
❷ 外力による膝への衝撃
外部からの衝撃(例えば、他の選手との接触や転倒)によって膝に強い力が加わると、前十字靭帯が損傷することがあります。
❸ 非接触型の損傷
  • 膝に直接的な衝撃がない場合でも、急な動きや不適切な体の使い方で前十字靭帯が損傷することがあります。

診断

問診と診察
けがの状況や症状を詳しく聞いた後、膝の安定性や可動域を確認します。また靭帯にストレスをかけ、こわさが再現されるかどうか、自覚症状を伺います。
画像検査
  • MRI前十字靭帯の損傷の有無や程度を確認するために、MRIが最も効果的な検査です。また、他の靭帯や軟骨の損傷も確認できます。
  • X線骨折などの他の損傷を確認するために、X線が行われることもありますが、靭帯自体はX線では確認できません。

治療

前十字靭帯損傷の治療は、損傷の程度や患者の年齢、活動レベルによって異なります。保存療法と手術療法のいずれかが選択されます。

❶ 保存療法(軽度の損傷や手術が不要な場合)
  • 安静膝への負担を減らし、痛みが治まるまで安静にします。
  • アイシング炎症や腫れを軽減するため、患部を冷やします。
  • 膝のサポーターや松葉杖の使用膝の安定性を高めるために、サポーターや松葉杖を使用します。
  • リハビリテーション筋力トレーニングやストレッチを行い、膝の安定性を保つための筋肉を強化します。特に大腿四頭筋やハムストリングスの強化が重要です。
❷ 手術療法(完全断裂やスポーツ復帰を望む場合)
  • 前十字靭帯再建術損傷した前十字靭帯を修復する手術です。通常は、患者自身の腱(ハムストリング腱や膝蓋腱など)を用いて新しい靭帯を作り、移植します。
  • 手術後のリハビリテーション手術後は、長期的なリハビリテーションが必要です。リハビリテーションは数か月にわたり行われ、膝の筋力や柔軟性を徐々に回復させます。

リハビリテーションと回復

リハビリテーション
リハビリテーションは膝の回復において非常に重要です。筋力強化、柔軟性の向上、バランスの訓練が行われ、スポーツ復帰を目指す場合は、スポーツ特有のトレーニングも行われます。
回復期間
軽度の損傷では数週間で回復することがありますが、手術を行った場合、完全な回復には6か月から1年ほどかかることがあります。

予防

筋力トレーニング
大腿四頭筋やハムストリングスの筋力を強化することで、膝関節の安定性を高め、靭帯への負担を減らします。
正しいフォームの指導
スポーツ時には、正しいフォームや動作を習得することで、膝に過度な負担がかからないようにすることが重要です。
柔軟性とバランスの強化
膝関節の柔軟性を高め、バランスを意識したトレーニングを行うことで、怪我のリスクを減らします。

まとめ

膝前十字靭帯損傷は、膝関節の安定性を保つ重要な靭帯である前十字靭帯が損傷する疾患で、スポーツ中の急な動きや衝撃で発生します。治療には保存療法と手術療法があり、適切なリハビリテーションが回復の鍵となります。予防には、膝周りの筋力強化や正しいフォームの習得が重要です。

膝蓋骨亜脱臼・膝蓋骨脱臼

膝蓋骨亜脱臼(しつがいこつあだっきゅう)および膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)は、膝のお皿(膝蓋骨)が通常の位置からずれてしまう状態を指します。膝蓋骨は、大腿骨の前面にあり、膝を曲げたり伸ばしたりする際に滑らかに動くべきものですが、外力や構造的な問題により外れることがあります。

  • 【膝蓋骨亜脱臼】
    膝蓋骨が一時的にずれ、すぐに元の位置に戻る状態。

  • 【膝蓋骨脱臼】
    膝蓋骨が完全に外れた状態で、手で戻す必要がある場合もあります。

症状

膝蓋骨亜脱臼
  • 膝蓋骨が部分的に外れてから戻るときに、膝に「ずれる」感覚や「ガクッ」とした感じがする。
  • 膝の前面に痛みを感じ、特に歩行や膝を曲げる動作で痛みが増すことがある。
  • 軽度の腫れや膝蓋骨周囲の不安定感がある。
膝蓋骨脱臼
  • 強い膝の痛みが急に発生し、膝蓋骨が完全に外れる。
  • 膝が腫れ、膝を動かすのが困難になる。
  • 脱臼した膝蓋骨が外れたままで、視覚的にも明らかに位置が異なる場合がある。
  • 膝の不安定感や、関節が「外れている」感覚が強くなる。

原因

外傷
スポーツ中の急激な方向転換やジャンプの着地、膝に対する強い外力などで膝蓋骨が外れることがあります。特にサッカーやバスケットボールなどで起こりやすいです。
膝の構造的な問題
生まれつき膝蓋骨や大腿骨の構造に問題がある場合、膝蓋骨がずれやすくなります。例えば、膝蓋骨の位置が高い(膝蓋骨高位)ことや、大腿骨の関節の浅さが影響することがあります。
筋力のアンバランス
膝周囲の筋肉、特に内側広筋(大腿四頭筋の一部)が弱いと、膝蓋骨が正しい位置に保持されにくくなります。
過度な膝の使い方
膝に無理な負担がかかる動作を繰り返すことで、膝蓋骨が外れやすくなることがあります。

診断

❶ 問診と診察
  • 症状の発生状況や痛みの場所、膝の不安定感などを確認します。医師が膝蓋骨の位置や膝の動きを観察し、脱臼の程度を判断します。
❷ 画像検査
  • X線膝蓋骨の位置を確認し、脱臼や亜脱臼の程度、骨に関連する損傷がないかを確認します。
  • MRI脱臼による軟骨や靭帯、その他の組織への損傷を詳細に確認するために使われます。

治療

膝蓋骨亜脱臼と脱臼の治療は、損傷の程度や症状の重さによって異なります。

❶ 保存療法
  • アイシング腫れを軽減するため、脱臼直後は氷嚢で冷やします。
  • リハビリテーション筋力トレーニングやストレッチを行い、膝周囲の筋肉(特に内側広筋)を強化します。これにより、膝蓋骨の安定性を向上させます。
  • 痛み止めの使用痛みを和らげるため、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用することがあります。
❶ 手術療法(重症例や繰り返し脱臼が起こる場合)
  • 靭帯再建術膝蓋骨を安定させるため、損傷した内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)を再建する手術を行います。MPFLが膝蓋骨の安定性に大きく寄与しますので、靭帯再建が第一選択となります。
  • 骨の修正手術大腿骨、脛骨、膝蓋骨の位置関係に問題がある場合、骨切り手術を行うこともあります。脛骨粗面を骨切りし、内側移動させて固定します。

リハビリテーションと回復

リハビリテーション
筋力トレーニングやストレッチを行い、膝蓋骨を安定させるための筋肉を強化します。特に大腿四頭筋やハムストリングスの強化が重要です。
回復期間
軽度の亜脱臼であれば、数週間から数か月で回復しますが、重症の脱臼や手術が必要な場合、回復には6か月以上かかることがあります。

予防

筋力トレーニング
大腿四頭筋(特に内側広筋)やハムストリングスの筋力を強化することで、膝蓋骨がずれにくくなります。
柔軟性の向上
ふくらはぎや太ももの柔軟性を高めることで、膝にかかる負担を軽減します。
正しいフォームの習得
スポーツや運動時に、正しいフォームを意識して膝に無理な負担がかからないようにします。

まとめ

膝蓋骨亜脱臼と膝蓋骨脱臼は、膝のお皿が正常な位置からずれる状態で、スポーツ中の動作や外力によって発生します。亜脱臼は軽度で、膝蓋骨が自然に戻ることが多い一方、脱臼は手動で戻す必要があることもあります。治療には保存療法や手術療法があり、膝の安定性を回復させるためのリハビリテーションが重要です。予防には、筋力強化や柔軟性の向上が効果的です。

膝蓋骨不安定症

膝蓋骨不安定症(しつがいこつふあんていしょう)は、膝蓋骨(膝のお皿)が正常な位置に保たれず、部分的にずれたり脱臼したりする状態を指します。通常、膝蓋骨は膝を曲げたり伸ばしたりする際に大腿骨の溝(膝蓋大腿関節)を滑らかに動くべきですが、この不安定症では膝蓋骨が正しい位置にとどまらず、ずれやすくなるため、痛みや不安定感が生じます。

症状

膝蓋骨のずれ感
膝を動かす際に、膝蓋骨が「ガクッ」と外れる感覚や、ズレる感じを経験することがあります。
膝の不安定感
膝がしっかりと支えられていない感覚があり、特に階段の昇り降りや走る動作で不安定さが増します。
膝の前面の痛み
膝蓋骨の周囲に痛みが生じます。特に膝を曲げる、伸ばすといった動作で痛みが強くなります。
腫れや炎症
膝蓋骨のずれや脱臼による炎症が原因で、膝が腫れることがあります。
膝蓋骨脱臼のエピソード
膝蓋骨が完全に脱臼し、その場で戻さなければならないこともあります。

原因

❶ 膝蓋骨の位置異常
  • 膝蓋骨が通常よりも高い位置にある(膝蓋骨高位)と、不安定になりやすいです。
  • 大腿骨の溝が浅いと、膝蓋骨が正しい位置にとどまりにくくなり、脱臼しやすくなります。
❷ 筋力のアンバランス
  • 膝周囲の筋肉のバランスが崩れていると、膝蓋骨が正しい軌道で動かず、不安定になりやすいです。特に、大腿四頭筋の内側広筋が弱いと、膝蓋骨が外側にずれやすくなります。
❸ スポーツ活動
膝を繰り返し使う動作によって、膝の姿勢がくずれ、膝蓋骨の位置が外側へ押しやられ不安定になることがあります。
❸ 外傷やけが
  • 膝蓋骨不安定症は、スポーツや交通事故などで膝に強い外力が加わり、膝蓋骨が脱臼したり、ずれたりすることで発生します。一度脱臼すると、再発しやすくなります。

診断

❶ 問診と視診
  • 症状や膝蓋骨がずれる際の感覚について確認します。膝の動きや膝蓋骨の位置を確認し、不安定感や異常な動きを観察します。
❷ 画像検査
  • X線膝蓋骨の位置や大腿骨の溝の形を確認し、脱臼や亜脱臼が起こりやすい構造的な異常を評価します。
  • MRI軟骨や靭帯、その他の軟部組織の損傷を確認するために行います。

治療

膝蓋骨不安定症の治療は、症状の重さや膝蓋骨の不安定感の程度に応じて異なります。

❶ 保存療法
  • 安静痛みや腫れがある場合は、膝を休め、活動を一時的に制限します。
  • 膝のサポーターやブレース膝蓋骨を正しい位置に保つために、膝蓋骨をサポートするブレースを使用することがあります。
  • 筋力トレーニング大腿四頭筋、特に内側広筋を強化することで、膝蓋骨の安定性を高めます。ストレッチも行い、膝蓋骨の動きを正常に保ちます。
  • 理学療法専門家の指導の下、膝蓋骨を安定させるためのリハビリテーションを行います。
  • 痛み止めの薬非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して、痛みや炎症を抑えます。
❷ 手術療法(保存療法で改善しない場合や脱臼が頻繁に起こる場合)
  • 膝蓋骨再建術膝蓋骨を正しい位置に固定するために、膝蓋骨の靭帯を修復する手術が行われることがあります。
  • Distal realignment正術骨の構造的な問題がある場合、脛骨粗面の位置を矯正する骨切り手術が行われることがあります。

リハビリテーションと回復

リハビリテーション
筋力トレーニングとストレッチを行い、膝蓋骨の安定性を高めます。リハビリテーションは数か月続けられることが多く、特に筋力強化と膝の安定性向上が重要です。
回復期間
保存療法で治療する場合、数週間から数か月で症状が改善します。手術を受けた場合、リハビリテーションに数か月を要することがあります。

予防

筋力トレーニング
大腿四頭筋(特に内側広筋)やハムストリングスの筋力を強化し、膝蓋骨の安定性を保つことが重要です。
ストレッチ
柔軟性を高めることで、膝蓋骨に無理な負担がかからないようにします。
正しいフォームの習得
スポーツ時には、膝に過度な負担がかからないように、正しいフォームを意識して動作を行います。

まとめ

膝蓋骨不安定症は、膝蓋骨が正常な位置からずれたり脱臼したりする状態で、特にスポーツや膝の使いすぎが原因となることが多いです。治療には、安静、筋力トレーニング、理学療法が含まれ、重症例では手術が必要になることもあります。適切なリハビリテーションと予防的な筋力強化により、症状の再発を防ぐことが重要です。

膝蓋腱炎

膝蓋腱炎(しつがいけんえん)は、膝のお皿(膝蓋骨)とすねの骨(脛骨)をつなぐ「膝蓋腱」の周囲に炎症が生じる状態です。主にジャンプやランニングなど、膝に負担がかかるスポーツや動作を繰り返し行うことで発生し、「ジャンパー膝」とも呼ばれることがあります。炎症により膝の前面に痛みや腫れが現れ、スポーツ選手に多く見られます。

症状

膝の前面の痛み
膝蓋骨の下あたりに痛みが生じ、特に階段を上り下りする際や、ジャンプや走るときに痛みが強くなります。
腫れや圧痛
膝蓋腱の周囲が腫れたり、押すと痛みを感じたりすることがあります。
運動後の悪化
運動や激しい活動後に痛みが増し、安静にしていると軽減することが一般的です。
膝のこわばり
膝を動かす際に硬さを感じることがあり、特に朝起きたときや長時間座った後に感じることがあります。

原因

❶ 過度の使用(オーバーユース)
  • 膝に負担をかけるジャンプやランニングを繰り返し行うことで、膝蓋腱に過度のストレスがかかり、炎症が発生します。バスケットボール、バレーボール、サッカーなどで特に多く見られます。
❷ 膝周囲の筋肉のアンバランス
  • 大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)が過剰に緊張したり、反対に弱くなることで、膝蓋腱に負担がかかり、炎症が起こりやすくなります。
❸ 柔軟性の低下
  • 太ももやふくらはぎの筋肉が硬くなることで、膝に無理な負担がかかり、膝蓋腱が炎症を起こすことがあります。
❸ ジャンプやランニングのフォーム不良
  • ジャンプの着地やランニングの際に、膝の使い方が悪いと、膝蓋腱に過度なストレスがかかります。

治療

❶ 問診と視診
  • 症状や痛みの発生状況について尋ね、膝の前面や膝蓋腱の周囲を確認します。膝の曲げ伸ばし時の痛みや圧痛の場所をチェックします。
❷ 画像検査
  • X線骨に異常がないかを確認するために行います。
  • MRI膝蓋腱やその周囲の軟部組織の炎症や損傷の有無を詳細に確認するために用いられます。

症状

❶ 保存療法(非手術的治療)
  • 安静と活動の制限膝にかかる負担を軽減するため、ジャンプやランニングなどの膝に負担をかける活動を一時的に制限します。
  • アイシング痛みや腫れを軽減するため、患部を冷やします。特に運動後にアイシングを行うことが効果的です。
  • ストレッチと筋力トレーニング太ももやふくらはぎの筋肉をストレッチして柔軟性を高め、大腿四頭筋やハムストリングスの筋力を強化することで、膝への負担を軽減します。膝前方の負担を減らすために、臀筋やハムストリングなど身体の後面の筋力トレーニングは重要です。
  • サポーターやテーピング膝蓋腱のサポートを目的に、サポーターやテーピングを使用することで、負担を軽減し痛みを和らげます。
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)痛みや炎症を和らげるために使用されます。
  • 体外衝撃波治療皮膚から衝撃波を与え、患部の末梢神経を鈍化させます。即時的に疼痛が改善することがあります。新生血管形成を促し、組織再生につながるという報告もあります。
  • 再生医療強力な抗炎症効果により、炎症を軽減させる効果をねらいます。
  • カテーテル治療・動注治療腱周囲の増生した異常血管を減らすために行います。この治療はオクノクリニックの奥野先生によって2014年に開発されたものです。当院はオクノクリニックとライセンス契約を結び動注治療を行なっております。
❷ 手術療法(重症の場合や保存療法が効果がない場合)
  • 膝蓋腱の炎症や損傷が重度である場合、腱の修復や除去手術が行われることがあります。しかし、ほとんどのケースでは保存療法での改善が期待されます。

リハビリテーションと回復

リハビリテーション
膝周囲の筋力強化と柔軟性向上を目的としたリハビリテーションが重要です。特に大腿四頭筋やハムストリングスの筋力をバランスよく強化することが、再発防止につながります。
回復期間
保存療法での回復には数週間から数か月かかることがあり、運動の再開には医師の指導を受けることが重要です。

予防

筋力トレーニングと柔軟性の向上
膝周囲の筋肉を強化し、柔軟性を保つことで、膝にかかる負担を減らします。
正しいフォームの習得
ジャンプやランニングの際に、正しいフォームを意識して膝に無理な負担をかけないようにすることが重要です。
ウォームアップとクールダウン
運動前後に適切なウォームアップとクールダウンを行い、膝蓋腱へのストレスを最小限に抑えます。

まとめ

膝蓋腱炎は、膝の前面に痛みを引き起こす炎症で、特にスポーツ選手に多く見られます。膝にかかる過度な負担や筋力のアンバランスが原因となり、安静やリハビリテーション、筋力強化、柔軟性の向上が治療と予防に重要です。適切な治療を行えば、症状は改善し、スポーツや日常生活への復帰が可能です。

膝内側側副靭帯損傷

膝内側側副靭帯損傷(ひざないそくそくふくじんたいそんしょう)は、膝の内側に位置する「内側側副靭帯(MCL)」が損傷する怪我です。内側側副靭帯は、膝関節を安定させるために重要な役割を果たし、膝が横方向に動きすぎないようにする靭帯です。この靭帯が損傷すると、膝に痛みや不安定感が生じます。多くの場合、スポーツ中に膝に外側から強い力が加わることで発生します。

症状

膝の内側の痛み
内側側副靭帯が損傷した場所に強い痛みを感じます。特に膝を動かしたり、外側から圧力がかかったりすると痛みが増します。
腫れや圧痛
膝の内側に腫れが現れ、触れると痛みを感じることがあります。
膝の不安定感
内側側副靭帯が損傷すると、膝が不安定になり、ぐらつく感じが生じることがあります。
可動域の制限
膝を曲げたり伸ばしたりする際に、可動域が制限され、動かしにくくなることがあります。

原因

❶ 外力による損傷
サッカーやラグビー、バスケットボールなどのスポーツ中に、膝の外側に強い衝撃が加わることで、内側側副靭帯が引き伸ばされ損傷することが多いです。
❷ 急激な膝のねじれ
スポーツ中に急に方向を変えたり、膝をねじったりする動作が原因で靭帯が損傷することがあります。
❸ 転倒や事故
スキーや自転車事故などで転倒した際に、膝が不自然な角度に曲がることで内側側副靭帯が損傷することがあります。

治療

❶ 問診と視診
症状や痛みの発生状況について聞き取りを行い、膝の内側に腫れや圧痛があるか確認します。
❷ ストレステスト
医師が膝を軽く押しながら、靭帯の安定性を確認するためのテストを行います。これにより、内側側副靭帯がどれほど損傷しているかを評価します。
❸ 画像検査
  • X線骨折がないかを確認します。
  • MRI靭帯や他の軟部組織の損傷を詳細に確認するために用いられます。
  • エコー検査ゆるみを評価するために、エコーで靭帯を確認します。

治療

❶ 保存療法(軽度〜中等度の場合)
  • 安静膝の負担を減らすため、安静にし、負傷後すぐに活動を控えることが推奨されます。
  • アイシング痛みや腫れを抑えるために、患部を冷やします。
  • 圧迫と挙上包帯やサポーターで膝を圧迫し、足を心臓より高く挙げることで腫れを軽減します。
  • リハビリテーション筋力トレーニングやストレッチを行い、膝周りの筋肉を強化して、膝の安定性を高めます。
  • サポーターや装具の使用膝の安定性を保つために、膝装具を使用することが多いです。
  • 再生医療強力な抗炎症効果と組織再生効果をねらって、患部に注射をおこないます。
❷ 手術療法(重度の場合)
靭帯が完全に断裂している場合や、他の靭帯や軟骨も損傷している場合は、手術によって靭帯の修復が必要になることがあります。

回復とリハビリテーション

軽度の損傷
保存療法によって、数週間から1か月程度で痛みが軽減し、リハビリテーションを行いながら徐々に運動を再開できます。
中等度〜重度の損傷
手術が必要な場合は、リハビリテーションに数か月を要することがあります。リハビリテーションは、膝の筋力と可動域を回復させ、再発を防ぐために重要です。

予防

筋力トレーニング
大腿四頭筋やハムストリングスなど、膝を支える筋肉を強化することで、膝関節への負担を軽減し、靭帯損傷のリスクを減らします。
柔軟性の向上
ストレッチを行い、膝周りの筋肉や靭帯を柔軟に保つことで、膝にかかる負担を減らします。
正しいフォームの習得
スポーツ中には、正しい動作フォームを習得し、膝を無理にねじったり外側に力をかけたりしないように注意することが重要です。サッカーのインサイドキックなどは、どうしても靭帯に負担をかけます。復帰当初は疼痛が再現されますが、徐々に慣れていきます。

まとめ

膝内側側副靭帯損傷は、膝の内側に強い力がかかることで発生し、膝の痛みや不安定感を引き起こします。多くの場合、保存療法で治療可能ですが、重度の損傷では手術が必要になることもあります。適切なリハビリテーションと予防策により、スポーツや日常生活への早期復帰が可能です。

鵞足炎

鵞足炎(がそくえん)は、膝の内側にある「鵞足(がそく)」と呼ばれる部分に炎症が起こる状態です。鵞足は、大腿の3つの筋肉(縫工筋・半腱様筋・薄筋)が脛骨(すねの骨)に付着する部分で、膝関節の安定性に関与しています。この部分に炎症が生じると、膝の内側に痛みや腫れが現れます。ランニングやジャンプ、階段の昇降などで膝に負担がかかることで発生しやすいです。

症状

膝の内側の痛み
特に鵞足付近に痛みが集中し、歩いたり膝を曲げたりすると痛みが増すことがあります。
膝の内側の腫れ
鵞足部分に軽い腫れや圧痛が現れます。
階段の昇降時や立ち上がり時の痛み
階段を上り下りする時や、椅子から立ち上がる際に痛みが強くなることがあります。
朝のこわばり
朝起きた際に膝が硬く感じたり、動かしにくくなったりすることがあります。

原因

❶ 膝の使いすぎ(オーバーユース)
長時間のランニングや歩行、ジャンプなど、膝を過度に使う運動が繰り返されると、鵞足部分にストレスがかかり、炎症が発生します。ランナーやスポーツ選手に多く見られます。
❷ 筋力のアンバランス
太ももや膝周りの筋肉のバランスが崩れていると、膝に不均等な負荷がかかり、鵞足部分にストレスが集中します。
❸ 膝の柔軟性の低下
筋肉や腱の柔軟性が低下することで、膝にかかる負担が大きくなり、鵞足に炎症を引き起こしやすくなります。
❸ 関節の変形や外傷
変形性膝関節症など、膝関節に変形や異常があると、歩き方が不自然になり、鵞足に負担がかかることがあります。また、外傷によって直接的に鵞足が損傷することもあります。

診断

❶ 問診と視診
  • 痛みの場所や症状の発生状況について聞き取りを行い、膝の内側に腫れや圧痛があるか確認します。
❷ ストレステスト
  • 鵞足部分を押して痛みを確認するテストを行い、炎症の有無を診断します。
❸ 画像検査
  • X線骨に異常がないかを確認します。
  • MRI軟部組織や腱の損傷や炎症を確認するために用いられることがあります。

治療

❶ 保存療法(非手術的治療)
  • 安静鵞足への負担を減らすため、膝を休め、痛みが落ち着くまで運動を控えます。
  • アイシング痛みや腫れを抑えるため、患部を冷やします。特に運動後や痛みがひどいときに行うと効果的です。
  • ストレッチと筋力トレーニング太ももや膝周りの筋肉をストレッチし、筋力を強化することで、膝への負担を軽減します。
  • 物理療法超音波療法や電気治療などを行い、痛みを和らげることがあります。
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)痛みや炎症を軽減するために使用されることがあります。
❷ 注射療法
  • 痛みが強く保存療法で効果がない場合、ハイドロリリース注射や神経ブロック注射を行い、疼痛を抑えることがあります。

回復とリハビリテーション

軽度〜中等度の症状
保存療法により数週間で改善が見られます。リハビリテーションを通じて、膝の筋力や柔軟性を向上させることで、早期回復が期待できます。
重度の場合
痛みが続く場合、専門的なリハビリテーションが必要となることがありますが、手術はまれです。

予防

筋力トレーニングと柔軟性の向上
大腿四頭筋やハムストリングスなど、膝を支える筋肉を強化し、柔軟性を高めることで、鵞足への負担を減らします。
正しいフォームの習得
ランニングやスポーツの際に、膝の使い方に注意し、無理な負担をかけないことが予防につながります。
ウォームアップとクールダウン
運動前にしっかりウォームアップを行い、運動後にはクールダウンを行って筋肉を整えることが大切です。

まとめ

鵞足炎は、膝の内側にある鵞足部分の炎症によって引き起こされる症状で、特に膝に負担をかけるランニングやスポーツを行う人に多く見られます。変形性膝関節症を心配されて受診される方が多く見受けられます。早めの専門医の受診をお勧めいたします。適切な安静やリハビリテーション、筋力強化により多くのケースで改善が期待できますが、症状を悪化させないために早期の治療が重要です。

腸脛靭帯炎

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいいん)は、膝の外側に位置する腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)という靭帯に炎症が起こる疾患です。腸脛靭帯は、骨盤からすねの外側まで伸びる長い靭帯で、特に膝の安定性を保つ重要な役割を果たしています。この腸脛靭帯が膝の外側で骨と擦れ合うことにより炎症が生じ、痛みを引き起こします。特にランニングやサイクリングなど、膝を繰り返し使うスポーツを行う人に多く見られるため、「ランナー膝」とも呼ばれています。

症状

膝の外側の痛み
特にランニングや階段の上り下り時、膝を曲げ伸ばしする際に痛みが現れます。最初は運動後に痛みが出ることが多いですが、進行すると運動中にも痛みを感じるようになります。
膝の外側の圧痛
膝の外側を押すと痛みが強くなることがあります。
炎症や腫れ
腸脛靭帯と骨が擦れる部分に炎症が起こり、腫れや熱感が生じることがあります。
運動中の膝の違和感
膝を動かすたびに違和感や引っかかる感じがすることがあります。

原因

❶ 膝の使いすぎ(オーバーユース)
長時間のランニングやサイクリングなど、膝を繰り返し動かす動作によって腸脛靭帯が骨と擦れ合い、炎症を引き起こします。
❷ 不適切なフォーム
ランニングやサイクリングで正しいフォームができていない場合、腸脛靭帯に過度なストレスがかかることがあります。
❸ 筋力のアンバランス
太ももやお尻の筋肉のバランスが悪いと、膝や足に負担がかかり、腸脛靭帯炎を引き起こしやすくなります。
❹ 柔軟性の低下
腸脛靭帯や周囲の筋肉が硬くなることで、膝関節がスムーズに動かなくなり、摩擦や炎症が生じます。
❺ 過度の運動量や急な負荷増加
急に運動量を増やしたり、トレーニング強度を上げると、膝にかかる負担が急激に増え、腸脛靭帯にストレスがかかります。

診断

❶ 問診・視診・触診
  • 症状の発生状況や痛みの部位を聞き取り、膝の外側に腫れや圧痛がないか確認します。
❷ 画像検査
  • X線骨折などの他の問題を排除するために用います。
  • MRI軟部組織や靭帯の炎症や損傷を詳細に確認するために使用されます。

治療

❶ 保存療法(非手術的治療)
  • 安静炎症が治まるまで、ランニングや膝に負担をかける運動を控えることが推奨されます。
  • アイシング炎症を抑えるために、痛みがある箇所を冷やします。特に運動後や痛みが強い時に行います。
  • ストレッチと筋力トレーニング腸脛靭帯や周囲の筋肉をストレッチし、太ももや臀部の筋力を強化することで、膝への負担を減らします。
  • 物理療法超音波治療や電気療法などを行い、痛みと炎症を軽減することが可能です。
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)痛みや炎症を抑えるために、医師の指示で服用します。
❷ 注射療法
保存療法で効果が見られない場合、ハイドロリリース注射を行い、炎症を抑えることがあります。

回復とリハビリテーション

軽度〜中等度の症状

保存療法によって数週間で痛みが軽減します。リハビリテーションを通じて筋力強化と柔軟性向上を行い、再発を防ぎます。

重度の場合
症状が長引く場合は、数か月にわたるリハビリテーションが必要になることがあります。

予防

正しいフォームで運動を行う

ランニングやサイクリング時に正しいフォームを習得することで、膝に過度な負担をかけず、腸脛靭帯へのストレスを軽減します。

筋力トレーニング

太ももや臀部の筋肉を強化し、膝への負担を分散させることで、腸脛靭帯炎の予防につながります。

柔軟性を高めるストレッチ

腸脛靭帯やその周辺の筋肉を日常的にストレッチし、柔軟性を保つことが重要です。

運動量を徐々に増やす
急に運動強度を上げるのではなく、段階的に負荷を増やすことで、膝や腸脛靭帯への負担を減らします。

まとめ

腸脛靭帯炎は、ランニングやサイクリングなど、膝を繰り返し使う運動によって膝の外側に炎症が生じる状態です。適切な安静やリハビリテーション、筋力強化により、症状の改善が期待できます。また、予防としては、筋力と柔軟性の向上、正しいフォームの習得が重要です。