万博で考えた「人間らしさ」
2025/05/15
こんにちは。用賀整形外科クリニックの山口です。
万博では、未来の技術や暮らしを紹介する展示が数多くありましたが、正直なところ、インターネットで事前に知っていた情報も多く、「驚き」に出会うのは難しい時代になったのだと感じました。かつての万博が「未知の科学」との出会いだったのに対し、今は「リアルで体験すること」に価値が移っているのかもしれません。
私がリアルで体験したかったのは、空飛ぶタクシー「ドローンタクシー」の実演。しかし残念ながら当日は中止。非常に楽しみにしていただけに、悔しい気持ちもありました。
一方で、AIやロボットの発展によって、私たちの生活はますます効率化され、多くの「作業」は自動化されていくことでしょう。そんな未来に向けて、改めて考えさせられたのが、「人間にしかできないことって何だろう?」という問いです。
そんな中、印象に残ったのが、会場で見かけた「踊り」の数々でした。阿波おどりの学生連がリズムに合わせて笑顔で踊っている姿、スペイン館で観たフラメンコのライブパフォーマンス。そのどちらも、人間の体を使って生み出すリズムや表情、場の空気があり、「ああ、これはAIにはできない」と素直に思いました。
踊りには、その人なりのクセや体の使い方が表れます。整形外科医の目線で見ても、姿勢や動きに個性が宿るのが面白いところです。人間らしさとは、決まった型からはみ出す「余白」や「感情の表現」にこそ宿るのかもしれません。
未来の技術に圧倒されつつも、あらためて「人間らしさの大切さ」に気づく機会になりました。人と人とのつながり、身体を動かす喜び。そういったものを、これからの医療の中でも大切にしていきたいと思います。